憲法コラム

2016年10月24日掲載

弁護士 大西 聡

皆さん、こんにちは。

 「憲法って何ですか?」と聞かれたら、皆さんはどうお答えになるでしょうか。「国の基本法である。」とお答えくださる方が多いでしょうか。はい、そのとおりです。正解です。

 憲法とは、主権者である国民が、国家権力を縛り、国民のための政治を行わせるためにある「基本法」です。憲法は、歴史的に国民が政府によって苦しめられたり、知らされぬ間に戦争を始められたりして散々な目に遭った反省から学び、生まれました。主権者である国民が憲法という決まりを作って、政府の好き勝手にさせないようにする、つまり、国民のための政治をするように国家権力を縛って乱用を防ぐものなのです。簡単に言えば、憲法は国(権力者)が必ず守るべき決まりなのです。

 最近、憲法改正のことを耳にすると思います。このことは国民生活にとってとても重要なことなのですが、憲法が身近なものと感じにくいせいで、多くの人はこの問題にあまり関心がないようです。

 しかし、憲法は、水や空気と同じで、普段は当たり前のように存在し、その存在は目に見えませんが、ひとたび憲法が権力者に有利な方向に変えられてしまうと大変なことになります。権力者は今まではできなかった好き勝手ができるようになってしまうからです。それは、国民の命や権利が危なくなるということを意味します。公共の利益や公の秩序といった漠然とした理由で人権を広く制限できる憲法に変わったとしたら… 権力者に有利な法律や制度が『憲法に違反しないもの』としてまかり通ってしまい、国民の生活が制限される大変窮屈なものになってしまうのです。

 そんなことにならないよう、主権者である私たち国民は常に国(権力者)を監視し続ける必要があるのです。