憲法コラム

2016年12月2日掲載

弁護士 末吉江衣

 みなさん、ジョンレノンさんのイマジンという曲を一度は聞いたことがあると思います。私は、この曲の中で描かれている平和に対する思いや穏やかな曲調が好きです。

 以前から憲法の平和主義の発想に近いところがあると気になっていたのですが、インターネットで調べてみるとオノヨーコさんがジョンレノンさんに日本国憲法の英文を渡して、それを読んだジョンレノンさんが感化されて作った曲という説があることを発見しました。この事実が本当かどうかはわかりませんが、イマジンが憲法の平和主義と近いと感じる人は他にもいるようでした。さて、現在の日本は憲法にある平和主義が守られているのでしょうか。

 昨年、安全保障関連法が成立しました。このことにより、自衛隊員が他の国の軍隊のために危険な場所にかけつけて、場合によっては武器を使えるようになってしまいました。実際自衛隊では、こういった駆けつけ警護に向けた訓練がすでに始まっていると聞きます。近い将来、自衛隊員が駆けつけ警護の際に命を失ってしまう事態が生じるかもしれません。自衛隊では多くの若者が任務にあたっています。そんな若者が犠牲になってしまう危険があるのです。イマジンで描かれている殺すことも、死ぬ理由を考えることもない平和な世界から、遠ざかるように感じてなりませんし、憲法にある平和主義が守られているのか疑問を感じざるをえません。

 私は、これまで戦争体験がある世代ではないですし、近しい親族から戦争体験をじっくり聞いたこともありませんでした。しかし、安全保障関連法によって自衛隊員の命が危険にならないか、任務から戻った時にPTSDになったりしないか、他の国から日本も戦争ができる国になったと思われないか、ゆくゆくは日本が戦争に巻き込まれないかなどいろいろ想像することはできます。憲法というと堅苦しい話みたいに聞こえますが、憲法は想像してみると近い将来の話と関わってきているように感じます。みなさんにとって憲法が少しでも近い存在となるように、私たちはこれからも活動していきたいと考えています。